Tyrosinase Inhibitor Screening kit シリーズ

チロシナーゼ(EC1.14.18.1)は細菌から植物、昆虫、動物まで幅広い生物種に存在し、メラニン色素合成における主要代謝酵素です。メラニン色素は脊椎動物では主に皮膚や毛組織の色素細胞(メラノサイト)で合成され紫外線から細胞を保護します。しかし過度な紫外線や物理的ストレスによりメラニン産生が過剰となると皮膚に沈着しシミの原因となります。一方、食用植物において傷や長期保存などによりチロシナーゼがメラニン合成を促進し変色(褐変)の原因となります。従ってチロシナーゼ活性を阻害する物質は美白効果や褐変抑制効果をもたらし、促進する物質は白髪を抑制する効果をもたらします。
メラニン合成過程においてチロシナーゼは主に2つの反応を触媒します。L-チロシンなどのモノフェノールをL-ドーパキノンにようなキノンへ酸化触媒します(モノフェノラーゼ活性)(図1)。もう一方はL-DOPAなどのジフェノールをキノンへ酸化触媒します(ジフェノラーゼ活性)。薬剤に対する感受性は両活性で大きく異なります(表1)。一般的なチロシナーゼ酵素活性は試薬調製の容易なL-DOPAを基質として測定されることが多く、難溶性のL-チロシンを基質とした測定は不安定で困難でありました。本キットはマッシュルーム、マウス、ヒト由来チロシナーゼを用いてL-チロシンもしくはL-DOPAを基質として反応したときのモノフェノラーゼおよびジフェノラーゼ活性を安定的に検証することができます(図2)。


マッシュルームチロシナーゼと哺乳類チロシナーゼは構造や局在が異なり、マウスチロシナーゼとヒトチロシナーゼは酵素機能が異なります。従って試験目的に応じて使用するキットを選択する必要がございます。美白剤の検証にはヒトチロシナーゼを、褐変抑制剤の検証にはマッシュルームチロシナーゼを用いたキットを推奨します。しかし各キットのコストや所要時間が異なるためお客様の試験計画に応じて適切なキットをお選びください。
